そこそこ幸せに生活できているんだけど
「なにか満たされない」「心の底から満足できない」
「心の底から満足できるような状態になること」なんてできるのだろうか
現状がそこそこ幸せな状況であるはずなのに「なにか満たされない」という感情は、「もっとほしい」「さらに良くなりたい」「もっと、もっと!!」という「欲」から発生している可能性が高いです。
欲とは何かを考え、欲を抑える・コントロールすることを実践していけば、満たされた気持ちで心穏やかに生活することができるようになります。
この記事の内容
- 欲とはなにか
- 欲と向き合う基本スタンス
- 欲をコントロールするための具体的な方法
無限に溢れ出てくる「欲」と上手に付き合っていく能力、つまり「足るを知る心」は凡人が満足度高く人生を送っていくためにめちゃくちゃ大事な能力です。
欲をコントロールすることができれば、人生にとって良いことしかない
欲とはなにか?
「そもそも欲望とはなにか」
について改めて考えてみましょう。「欲」または「欲求」の捉え方はさまざまで、少し調べるだけでも、たくさんの考え方があるのがわかります
いくつか例を見てみましょう。
「3大欲求説」
欲を分類するものとしてよく耳にするのが「3大欲求説」ですが、その中にも様々な説があります。
■「食欲」「性欲」「睡眠欲」説
生きていく上で重要な3つの欲求を「食欲・性欲・睡眠欲」の3大欲求とする考え方です。
生物学的な考え方から分類されており、もっともよく耳にする考え方の一つです。
■「食欲」「性欲」「集団欲」説
眠るという行為を人間の脳機能であるとして欲求に含めない変わりに、集団の中にいたいという「集団欲」をプラスした説。
誰かと関係性を持っていないと殆どの人間が耐えられないことを考えれば、納得の理論かもしれません。
■「睡眠欲」「食欲」「排泄欲」説
「性欲」ではなく、変わりに「排泄欲」を加えたパターン。
種を残すために必要な「性欲」ではありますが、子孫を残さなくても死ぬわけではありませんが、排尿や排便を止めることはできないため「排泄欲」が「三大欲求」の一つであるという説。
また「生存」「関係」「成長」を「三大欲求」とするアメリカの心理学者が提唱する、ERG理論という概念もあります。
三大欲求説をとっても様々なものがあるのがわかります。
マズローの「五段階欲求説」
心理学の世界で有名なのは、マズローの「五段階欲求説」です。
人間の欲求を「生理的欲求」、「安全の欲求」、「社会的欲求」、「承認欲求」、「自己実現欲求」の5段階で構成されていることを示した説です。一番下の生理的欲求から上に向かってクリアすることで、最終的に自己実現に達するという理論です。
下のピラミッドは有名ですね!!
仏教での「五欲」「煩悩」説
仏教でも「欲」が色々定義されていて、有名なのは「五欲」や「煩悩」です。
「五欲」は食欲、財欲、色欲、名誉欲、睡眠欲の5つに分類されます。
「煩悩」についてですが、煩悩は108個あると言われます。
「108個」の由来には諸説ありますが代表的な説は、六根(6)×好・悪・平(3)×浄・染(2)×過去・現在・未来(3)をすべて掛け合わせると108になるという説です。
六根とは人に感覚を生じさせ、迷いを与えるもののことで、眼、耳、鼻、舌、身、意の6つを指します。
好・悪・平は人間の感情のあり方を表しています。好=快感、悪=不快、平=どちらでもないというあり方です。
浄・染は浄=きれい、染=きたないという意味です。
「煩悩を超越して、無我の境地に至る」みたいなフレーズをよく聞いたりしますね!!
結局、欲とはなにか?
「欲とはなにか」少し掘り下げて考えて見るだけでも、様々な説が溢れていることがわかります。
だからこそ、限定的な視点で「これが欲だ」と決めつけてしまうことは避けたほうがいいでしょう。
「人間にもともと備わっている、なにかをするための原動力全般」といった感じで、広く捉えておいたほうが良さそうです。
「欲とはなにかは、ぶっちゃけわからない」ということがわかったら、それで十分です。
欲と向き合う基本スタンス
ここからは私達「凡人」がどのように「欲望」と向き合っていけば、悩み少なく、満足度高く、満ち足りた感覚で幸せに日々を送ることができるのかとう視点で、「凡人流の欲と向き合う基本スタンス」を解説していきます。
基本スタンスは次の3つです。
- 放置してれば欲は無限に膨らむ
- 欲を叶えるよりも減らしていく
- 結局、欲がなくなることはない
この3つの基本スタンスを日々心がけるようにすれば、心穏やかに満足度高く過ごせるようになります。
順番に解説していきます。
放置してれば欲は無限に膨らむ
欲とうまく付き合っていくためには「欲にはどこまで行ってもキリがない」ということを、頭の芯・心の底・全身全霊で理解して、日々の行動や考えに活かすところまで考えることが大事です。
「欲望にはキリがない」ということを分かっているつもりでいても、無意識に日常を過ごしていると、いつのまにか「欲」は膨れ上がって、気づかないうちに「欲」に振り回された「思考」や「行動」を取ってしまいがちなのが普通の人間だからです。
意識していないと「欲」は勝手に膨らんで行くばかりということです。
いくつか例を上げてみましょう。
- 「幸せな家庭を築くことが夢」だった青年が無事に幸せな家庭を手に入れた後、それだけでは飽き足りず、別の場所に喜びや楽しみを求めて浮気をする。
- 「今の仕事にも満足はしているんだけど、なにか足りない、、、自分にはもっとやりたいことや使命があるはずだ!!」とさらなる高みを求めて転職にチャレンジする。
- 学生の頃は大満足だった500円の定食を食べるくらいでは、懐かしさ意外、もはや何も感じない
- インスタントコーヒーなんて飲んでられない、豆から挽いたやつではないとコーヒーとは呼べない
こんな感じで、夢や目標を達成してしまうと、そこから新しい夢や目標を求め続けたり、昔は満足だったものが、今の感覚からすれば「物足りない」と感じてしまうことはよくあることです。
これこそが「欲が無意識に膨らんでいる状態」の一つの形ではないでしょうか?
欲が膨らむことが、全て悪いわけではありません。
完全に欲がなくなれば無気力になってしうので、なにかをしたいという「欲」は必要なものでもあります。
ただここで言いたいのは、「欲に対して無意識でいると、際限なく膨大してしまうものだということを強く認識すべき」だということです。
認識できていれば、悩みや不満を抱えたときに「欲が大きくなりすぎていないか」という視点を持つことができるようになります。
欲を「満たす」よりも「減らす」ことを考える
欲が勝手に膨張していくことを理解した次に意識すべき基本スタンスは
「欲を満たすことよりも減らす」です。
自分の中から際限なく溢れ出てくる「欲」を減らしていくことを考えていきましょう。
なぜなら「欲を満たすこと」つまり、目標や願望を達成することを基本スタンスにすると、満たしては次の目標、その次を満たせば次の目標、更に次の・・・とった感じの無限ループに入ってしまって、結局は常に満たされない状態に陥る可能性が高いからです。
満たされない状態、つまり「不満足な状態」がずっと続くということは、ストレスフルで良くないでしょう。
家族の生活の質の向上や、年収の向上を求めて転職を続ける既婚男性の例で考えてみましょう。
こんな感じの思考の流れが想像できます。
【年収500万円、妻1人(専業主婦)、子供1人】
- 家族を養いながら、平穏に暮らしていくには十分な収入がある。
- しかし、このまま今の会社にいても、贅沢はできない。年収を上げるべく転職しよう!
【年収600万円、妻1人(専業主婦)、子供1人】
- 年収も上がり、少しずつ貯金もできるようになってきた
- マイホーム購入や子供のこれからの教育資金のことを考えるとまだまだ足りない、スキルをつけてもっと給料の高いところに転職しよう
【年収800万円、妻1人(専業主婦)、子供1人】
- マイホームも35年ローンで購入した、支払いもなんとかなりそう。
- 給料は良いが今の仕事はやりがいが今ひとつ、せっかくならもっと世間に必要とされるやりがいのある仕事をしたい。もっとやりがいのある仕事を目指して転職しよう
【年収800万円、妻1人(専業主婦)、子供1人】
- 年収は維持したまま、狙い通りの転職を成功することができた。
- やりがいはあるが、忙しくてなかなかプライベートな時間が取りにくい。
- 年収は下がっていいし、やりがいもそれなりでいいから、家族との平穏な時間を確保したい
こんな感じの思考回路が想像できます。
転職自体はうまく行って年収も上がってますが、注目すべきは転職を繰り返し年収が上がったあとで、スタート時点に手にしていた「家族との平穏な時間」を望むようになっていることになっているところです。
年収を上げたいという欲を原動力に行動した結果、最終的には自分がもともと手にしていたものを再び求めてしまう形になっています。
わかりやすく極端な例ですが、気づかぬうちに似たようなループに入る人って結構多いんじゃないでしょうか?
欲を満たしても、満たした視点から見える欲を追い続けてしまうものです。
「欲を満たすことよりも減らすこと」を基本スタンスにしていれば、欲の無限ループに飲み込まれる可能性はぐっと減って、トータルで見れば満足度高く人生の時間を過ごすことができるようになるはずです。
結局、欲がなくなることはない
3つめの基本スタンスは、「欲はなくなることはない」という事実を忘れないことです。
欲がなくなって、欲に振り回されない人生を願おうとすると、悟りの境地にでも達しない限り、永久に自分の人生に満足することができない可能性が高いからです。
極論ですが、「欲を減らして心穏やかに過ごしたい」という願いも、欲であることに違いはありません。
これはどの方向に向いた欲でも同じです。
- 欲を減らしたいと願う人が、欲が減らない事実に打ちのめされる
- 社会貢献したいと願う人が、自分のできる範囲で社会貢献をしたあとに、自分の無力さに打ちひしがれる
- 自己実現のために転職を繰り返した人が、更に上のレベルがあることを知って愕然とする
- ダラダラ好きな時間を満喫したはずなのに、もっとダラダラ好きな時間を過ごしたいという気持ちが収まることはない
- 先週焼肉を食べたのに、今週もまた焼肉を食べたいと思っている。
- いくらお酒を飲んでも飲み足りない
- SNSでどれだけいいねをもらってもまだ足りない
こんな感じで、良い方向でも悪い方向でも、欲はなくなることなく、満たしても次のレベルの欲が出現してくるものです。
だからこそ、どの方向に向いた欲であっても「欲はなくなることはない」という前提に立って、自分の欲と向き合って行くスタンスを用意しておく必要があります。
欲をコントロールして人生に活かす
「欲とはなにか」ということと、欲と向かうための基本スタンスについて解説してきました。
これらが整理できたら最後に考えるべきは「欲を自分の人生にうまく活用する方向性を考えること」が大事になってきます。
欲を上手にコントロールして人生の満足度を向上させてやりましょう。
欲を人生に活かす具体的なポイントは次の3つです。
- 本能的な「欲」は存分に活用する
- 「欲」に緩急をつけて満たす
- マイナスの欲は、あえて利用する
- 欲の取捨選択をする
- 先に満たされることで視野は広がる
本能的な「欲」は存分に活用する
食べたい、寝たい、遊びたいなどシンプルな本能的な欲は大事にして、存分に活用してやりましょう。
本能的な欲はとても分かりやすく、なくなることのない非常に強力なものなので、何かの目標を達成するためのエサにするにしても、目的を達成した後のご褒美にするにしても、簡単に利用しやすいからです。
- 美味しいものを食べたいから頑張る
- このミッションをクリアしたら好きなだけ寝る
- 自分へのご褒美に好きなだけ遊ぶ
などなど、本能的な欲を行動の原動力にすれば毎日の小さな行動にメリハリが生まれます。
なくなることのない本能的な欲を存分に活用する視点を身に着けましょう。
「欲」に緩急をつけて満たす
「欲」に緩急をつける、つまり「我慢するとき」と「思うがまま欲を満たすとき」を意識的に切り分けることは、ありきたりな毎日にメリハリや刺激だけでなく、感謝や幸福感まで与えてくれます。
現代社会では普通に働いてさえいれば、とりあえず衣食住を満たして普通に生活することに困ることがなくて、普通に生活できることが当たり前になってしまっています。
だからこそ、あえて我慢したり、派手に欲を満たしてみたり、意識的に緩急をつけることで、ありきたりな日常や「普通に生活できること」自体に新鮮さが生まれます。
平穏に暮らせる毎日の幸せが「マンネリ化」してしまっているというわけです。
やり方はすごく簡単です。
- 月に一度、朝飯と昼飯を抜いて、極度の空腹状態を作れば、「いつものありきたりな夜ご飯」が変身し、ありがたみを感じる事ができます。(途中我慢してるときは辛いですが)
- 毎日のように風呂上がりにビールを飲んでいる人は、1週間我慢してみるだけで、解禁後のビールの喉越しや爽快感は何倍にも膨れ上がります。
- いつも残業ばかりで遅くかえるのが普通になっている人は、月に一度だけでも、早く帰って自分の時間を思うがままに満喫することで、人生に彩りが生まれます。
やり方は無限です。
自分の生活の中で「いつも当たり前になっていること」に焦点を当てて、それをあえて増やしたり減らしたりすることを試してみてください。
もちろん、いつものルーティンや日常生活のリズムを守るのも大事です。
崩しすぎるのはよくありませんが、あえて緩急をつけることで、普段のルーティンやリズムに新しい発見をもたらせてくれたり、「普通に暮らせてること」への感謝を感じることができるようになります。
インフルエンザや高熱で2〜3日動けなかった状態から回復するときに、健康のありがたみを感じるのと似たようなものです。
ぜひ、毎日当たり前のように満たしている欲求に焦点を当てて、あえて緩急をつけることを試してみてください。
マイナスの欲は、あえて利用する。
「やりたくない」「こうなりなくない」なども、違った方向を向いた「マイナスの欲」です。
これらの欲はあえて利用することを考えましょう。
「〇〇したくないから、□□をする」といった具合で、したくないという欲を別の行動を促すための原動力として自分の頭の中で変換するのです。
やりたくないことをやる理由を変換して、ある程度明確にできれば、嫌なことをやるにしても目的がはっきりしているので、それほど嫌ではなくなります。
僕の場合は例えば、「お金に困る暮らしは嫌なので、働いている。」と自分の頭の中で変換しています。
その後に、仕事の中でのやりがいを自分で模索しています。
マイナスの欲は強力なので、逆手に取って活用することができれば、とても便利なものです。
自分が欲しているものは「プラスの欲」ですが、拒んでいるものは「マイナスの欲」です。
実は、マイナスの欲のほうが、強力でとてもわかり易いものだったりします。
- とにかく働きたくない
- 通勤電車に乗りたくない
- めんどくさい人間関係は嫌だ
- 不健康になりたくない
- 貧乏になりたくない
- めんどくさいことはしたくない
例を上げればキリがありませんが、マイナスの欲はとてもシンプルで強力でわかりやすいものばかりなので、「自分が何を求めているのか」なんて難しいことを考える必要がありません。
このシンプルで強力な欲を叶えるためこそ、逆手に取って活用することをオススメします。
まとめ
以上、人間が生きていく上で避けて通れない重大なテーマである「欲」について解説して来ました。
テーマが壮大過ぎて、永久に答えは出ない問題かもしれませんが、長い人生の中で自分なりに欲との付き合い方を模索し続ける際の参考にしていただければ嬉しいです。
何かを追い求め続けるよりも、今の現状で満足する能力を鍛えて、満足度高く人生の多くの時間を過ごすことに集中しましょう。
「足るを知る者は富む」です。
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